あざな悠良のよもやま話

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映画『ブラックフット』感想ネタバレあり・クマ映画として観てはいけないクマ映画

映画の中でも、特にサメやゾンビが襲ってくる系のパニック物に魅かれてしまう私だが、今回はクマに襲われる映画を観てみた。

 

2014年公開のカナダ映画『ブラックフット』。

 

 

今回はその感想をネタバレありで書いておこう。

 

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導入部は、男女のカップル(ところで、この表現ってまだ現役なのか?)が広大な自然公園へキャンプへ出かける車内からはじまる。

 

男の方がミスを認めたがらないだのといった遠慮の無いトークを女がするものの、それをジョークとして流せるだけの信頼関係があるのだな、と感じさせるシーンで、二人のつきあいの長さがうかがい知れる。

 

なごやかな雰囲気だが、この後、二人がクマに襲われることを知っている身としては、なんともやりきれない思いだ。

 

アイキャッチに使用させていただいた画像は日本版のものなのだが、これを見るだけで、男の方は生還できなかったことが既にわかってしまうので、女は果たして、という目線で観るしかなくなってしまうのがちょっと困る。

 

ジャケットからネタバレの嵐。

 

ついでに書くと、「樹海で起きた衝撃の実話」というあおり文句まで入ったものもある。

 

この作品、実話ベースなのだそうだ。

 

歯切れの悪い言い方になってしまうのは、私がベースになった事件を探り当てられなかったことと、主人公の男が作品内でフラグを立てまくったせいである。

 

そう、この男、やたらとフラグを立てまくるのだ。

 

最初の車内のシーンでの「ミスを認めたがらない」というのが、既にフラグなのだから恐れ入る。

 

その後、キャンプ場に到着した二人は受け付けを済ませるわけだが、日本のキャンプ場とはスケールが異なる、樹海と言っていいレベルの自然公園内で、「慣れた場所だから」と男は地図を持って行くことを拒否するのだ。

 

なんだ、この巨大すぎるフラグは。

 

山だぞ。

 

大自然だぞ。

 

慣れた場所であろうと、地形が変わっている可能性はゼロではなかろうに。

 

実話ベースであるのなら、実際に被害にあわれた方がいらっしゃるのであろうが、さすがにこのキャラクターはフィクションであると思いたい。

 

「こんなん襲われて当然やん」と、つい思ってしまうのだが、もしかしたら、そう思わせるキャラにすることによっていたましさを緩和させたいのであろうか。

 

まさかねー。

 

管理人に目的地を問われた男は、女を「ブラックフットの小道」に連れて行きたいのだと口にする。

 

ここで早くもタイトル登場。

 

なのだが。

 

私はてっきり、ブラックフットとは画像のクマのあだ名と思いこんでおり、クマの通り道を見せたいって、そりゃ襲われても文句は言えんわ、と考えてしまったのだが、管理人は特に厳しく制止しようとしない。

 

ブラックフットが何であるかはしばらく後に明かされるのだが、先に書いてしまうと、土地の特徴のようなもので、まったく無害な名称であった。

 

ちなみに『ブラックフット』は邦題で、原題は『Backcountry』。

 

和訳すると、僻地とか片田舎となる。

 

秘境、といったイメージか。

 

てっきり伝説のクマみたいなのが出てくるのかと思ったのだが。

 

いや、まぁ、普通のクマでも十分こわいけど。

 

湖のほとりで、出発間際まで携帯をいじる女に、男が少々いらだつも、なんとかカヌーに乗って出発。

 

第1夜は、何故か公園ガイドをしているという男が割り込んできて、二人の仲が一瞬微妙になってしまうのだが、けっこうな時間をこのシーンにさいた意図はよくわからない。

 

とにかく、クマはなかなか出てこないので、クマが見たい人にはおすすめしない。

 

ついでに言うと、そのわりにクマディナーの残骸についてはそれなりに映るので、グロいのが苦手な人も回れ右した方がいい。

 

クマ目当ての方のために書いておくと、作品90分の間、前半の40分以上は人間しか出てこない上に、男のフラグの立てっぷりがものすごいので、クマを期待して観てしまうと期待はずれもはなはだしい。

 

クマの姿を目視できるのはストーリー開始50分を経過してからだし、せっかく出てきたクマも、70分を超えたあたりで完全に出てこなくなる。

 

だが、獲物は内臓からいただくあたり、ちゃんとクマの生態を描いているし、クマのアニマルパニック物としてではなく、ドキュメント物として観るといいいのではないかと思う。

 

それも男のキャラのおかげで難しいのではあるが。

 

本当に、 いっそすがすがしいくらいのフラグの立てっぷりだ。

 

二人はブラックフットの小道を目指して、男のカンだけを頼りに進んで行くわけだが、道中、大きな獣の足跡を見つけた男は、何故かそれを黙殺する。

 

いや、もう、本当に「なんで!?」としか言えない。

 

男には男なりの、是が非でもその場所を目指したい理由はあったわけだが、女にしてみればたまったものではないだろう。

 

クマによる獣害というよりは、完全に人災だ。

 

そういう目線で観ると、「世の中には準備を怠って遭難する人間が確実に存在するんだよなぁ」という事実が思い起こされるので、ドキュメント味が増すというもの。

 

よくわからないのは、そんな男に愛想を尽かさない女の心情だ。

 

理解できなさすぎて頭がくらくらしてくるのだが、安心して欲しい。

 

そのあたりでクマが出てくるので。

 

クマの出方に関しては、後ろをふりかえったらそこにクマ、ギャー!といったようなビックリドッキリ系の登場ではなく、じわーっと出てくるので好感が持てる。

 

 ただ、クマの姿を拝めるのは正味10分程度なので、何度も言うが、期待はしない方がいい。

 

90分間それなりに楽しめるが、とにかくジャケットに偽りありとまでは言わないにしても、クマ映画として観てはいけない作品である。